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『諜報新撰組 風の宿り 源さんの事件簿』

本日、京は五山の送り火なので、京都駅はすごい人込みで、大坂よりさらに暑く、また熱く。

そんな京でちょっと買い物をして、我が家に辿り着きました。
大阪空港ではちょっと舞い上がっていたのね。今、冷静に先ほどの記事を見ると恥かしく(苦笑)。

さて13日に記事にした秋山香乃さんの『諜報新撰組 風の宿り 源さんの事件簿』 (河出書房新社)、遅くとも関西に帰るまでには読み終わるだろうと書きましたが、記事にしたその日のうちに読み終わってしまいました。だって読みやすく、ストーリーも良かったものですから。

前回の『新撰組捕物帖 源さんの事件簿』(これについての感想はこちらより)は、一つひとつの事件を解決していくというものでしたが、今回は三章から成るものの、文久3年(1863)の晩夏から晩秋までの物語。佐々木愛次郎と恋人のあぐりが殺害されるちょっと前から、芹澤鴨暗殺、長州の間者を処分した頃までの話しで、繋がっています。

源さん、また前回に続き尾形俊太郎、中村久馬が良いのは言うまでもありませんが、今回は試衛館派のメンバーのキャラがすごく良い!平助がちょっと幼い感じもしますが、これから成長していくのでしょう。
特に山南敬助が良い。山南ラヴの私が言ってもあまり説得力がありませんが、この山南のキャラは好きだな~ちょっと良い人過ぎる感がしないでもありません。山南の弱さ、頑固さみたいなところがもう少し出てもいいのかな~とい感じがしました。
そして土方歳三。この方も良いい。しかしもう少し土方の弱さみたいなところがあってもいいのかな~。
山南と土方の関係。土方が信頼している仲間の一人。『サンナン』と呼ぶ土方。そして『トシ』と呼ぶ山南。事前に2人で話しをまとめてから、近藤に伝える。そして他のメンバーに伝える。そういう流れができているのよ。

改めて誓いの言葉を口にして鞘をずらし、刀身を三寸ほど空気にさらした。歳三と敬助も刀を引き寄せ、刀身を勇の刀に打ち付ける。

とか、

勇はもちろんのこと、一番こういうことには憤慨しそうな敬助がなにも言わないのは、歳三との間にすでに話がついているからなのだろう。三人からたちのぼる「やるしかないのだ」という無言の気迫が他の男たちの口を黙らせる。

もうたまりません。この大幹部である三人の男たちの無言の誓い、またたちのぼる気迫がたまりません(笑)。
読んでいる私まで、無言の誓いと気迫に何も言えません(苦笑)。

後、山南と源さんの関係も良かったな~年長者であるだけに、土方と山南のことをよくわかっていて、土方には言うことは言うし、このことについては山南に相談した方がいいなと思ったら、山南に相談する。そんな源さんはどちらかというと山南と同じような考え。だから源さんはサンナンが好きなのよね。

後、佐伯又三郎、斎藤一は一体何者だろう、敵か?味方か?
私も読みながら、源さんと一緒に悩みました。佐伯又三郎が意外な展開で、なるほど、今までにないキャラでなかなか良かったです。斎藤については、最初は『新選組!』の斎藤と同じパターンか?とか、なんだこいつは?とか色々と考えていたのですが、斎藤が新選組に入った理由として云われているひとつの説を使ったパターンでした。この説のことをすっかり忘れていましたよ。このキャラも良かった。

さてフィクションとして登場する新選組の隊士に、堺槙之進という人がいます。実際にいた隊士に酒井兵庫という方はいらっしゃるんですけれどね。なんかという漢字の苗字に反応してしまいましたよ。

最後に、山南敬助と土方歳三。お互いに信頼しあっているのですが、意見の食い違いの場面もあったり、また芹澤鴨暗殺で、山南敬助は源さんと一緒に平間重助を殺害するはずだったんですけれど、女と一緒に逃しちゃったのよ。またもや。
土方に聞かれた時、「踏み込んだ時には誰もいなかった」とウソをついたのは源さんだったんですけれどね。土方は逃がしたと気付いた感じでしたけれどね。

この後の山南と土方の関係を色々と勝手に想像する私です。
秋山香乃さんの書かれた山南と土方の関係、山南敬助の怪我、切腹に至る話では、『新撰組藤堂平助』(文芸社)が好きだったのですが、この『諜報新撰組 風の宿り 源さんの事件簿』の山南敬助と土方歳三で、岩木升屋事件、山南敬助の怪我、病、切腹(自刃でもいいです)を描いてほしいな。
by eri-seiran | 2007-08-16 18:27 |  本

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