カテゴリ:歌舞伎( 56 )

吉野山にて親子三代の舞

2日前の9日の日曜日は片岡仁左衛門、孝太郎、千之助親子三代による吉野芸能祭金峯山寺奉納歌舞伎を観に行って来ました。
2年ほど前から歌舞伎に興味を持ってくれるようになった友人と共に。

これは8日と9日の2日間の2回の公演で18時半開演で20時までの1時間半で、孝太郎姉さんが『藤娘』、仁左衛門さんと千之助君が『連獅子』を披露。端正な舞踊で定評のある孝太郎姉さんは期待を裏切らず。

仁左衛門さんと千之助君の『連獅子』は今年の6月に新橋演舞場であり、観に行きたいな~と思い、とてもとても悩んだのですが、忙しかったことと、8月にスウェーデンに行くために節約もしなければならなかったので諦めたのですが、4ヵ月後に吉野で見られるなんって神様ありがとうって感じでした。

6月の舞台の評価はチェックしていなかったので、どんな感じなんだろうと思っていたら、あまりにもすごすぎて感動して涙が出そうになりました。
『連獅子』は生の舞台で見たこともありますし、テレビとかでも見たことがありますが、演じているのは大人同士。しかし千之助君は大人顔負けの端正な踊りで、仁左衛門さんをしっかり見て息が合っていて、また最後の毛をまわすところも乱れずとても綺麗でした。そして可愛らしくて、まさしく子獅子であり、また一方で獅子の勇敢さもあって。
今まで見た歌舞伎の舞台の中で私のベスト3に入る、いや父親の舞台を越えてベスト1位かな。
友人も「かわいい」「上手い」と言ってくれていました。
もちろん千之助君がそこまでできたのも仁左衛門さんの力でもあります。
あの年齢で『連獅子』を演じる仁左衛門さんもすごい。
そしてこれで松嶋屋は安泰だと思いました。

初めての屋外での歌舞伎鑑賞は寒かったけれど、とても良かったです。
歴史あるお寺にて、空を見上げれば月と星、そして時々飛行機が飛んでいて、過去と現代が交差して幻想的でした。
とてもとても寒かったですけれど。そして吉野は遠かった。しかし友人と会うのは7月以来だったので、電車の中では色々な話でずっと盛り上がっていました。
その友人が女形、男形というのはどうやって決まるの?と質問してきたので、若いうちにどちらもやっていく中でどっちが合っているというものがあること、また孝太郎さんの場合は同じ年代に女形が少なかったこと、そしてかわいがってもらっていた中村芝翫さんに女形を勧められて女形になった話をしました。
それが9日の21時くらいのこと。それから約3時間後にその中村芝翫さんは息を引き取ったそうです。

孝太郎さんは中村芝翫さん宅の三男坊かのようにかわいがってもらっていたそうです。そして歌舞伎界の大先輩。
吉野でのあの素晴らしい舞台。吉野にも芝翫さんの歌舞伎への思いが届いており、お互いに繋がっていたんだろうな~と思う。ご冥福をお祈りします。

a0044916_21252823.jpg

              金峯山寺の仁王門
[PR]
by eri-seiran | 2011-10-11 21:32 | 歌舞伎 | Comments(2)

七月大歌舞伎

歌舞伎座に最後に行ったのは去年の12月でした。その時に歌舞伎座はこれで最後になるかもしれないな~と思いながらも、もう一度は来れるかな~と思っていたのですが、どうも難しいようです。
3月は苅屋姫@孝太郎に逢いに行きたかったのですが、仕事がどうしようもなかった。4月は3月の時点では予定がわからないためにチケットを取ることができず、4月に入って予定がわかったものの、チケットは行ける日で見たい一部と三部は完売。最後に行きたかったな~と後悔していたのですが、7月の大阪松竹座での七月大歌舞伎のためにお金を貯めることにしました。歌舞伎座は諦めなさいということだったのね。

七月大歌舞伎にて、孝太郎姉さんは4役です。
お三輪にお喜世にお早におりょうです。
この中で3役はこれまで見ており、お初なのが、『竜馬がゆく』のおりょうです。おりょうですよ、おりょう。
どんなおりょうになるんだろう。楽しみです。

実は歌舞伎熱はちょっと落ち着いてきたと思っていたんです。
約3年、突っ走って来まして、いつか落ち着く時が来るということで、金銭的なことを考えると早く来てほしいという思いがあったのですが、今年に入って、来たかな?という感じだったのですが、そうじゃなかったみたい。ただ今、嬉しくて非常に舞い上がっています。
まだまだ続くようです。
[PR]
by eri-seiran | 2010-04-16 21:58 | 歌舞伎 | Comments(2)

今年お初の歌舞伎

パソコンから記事をアップするのは昨年の12月22日以来で、つまり今年、お初です。
パソコンが壊れていたわけではありません。家にいるとバタバタ状態で。どこかお泊りで出掛けると、アップしたいと思う記事も生まれますし、移動中、また何もしなくても良い時間が生まれますし。

一昨日は今年お初の歌舞伎鑑賞をして参りました。大阪松竹座での壽初春大歌舞伎の通し狂言 仮名手本忠臣蔵の昼の部です。
以前から連れて行ってと言っていた歌舞伎がお初の友人と行き、もう長い歌舞伎ファンであるかのようにあれこれ教える自分がいました(苦笑)。
さて舞台が始まり、見ている途中で歌舞伎がお初の友人にこれはどうなんだろう?という思いが。最初は仮名手本忠臣蔵だからわかりやすい、面白いとか思ったのですが、これは忠臣蔵が好きな人にとってそうであり、そうじゃなかったらどうなんだろう?それに同じ忠臣蔵でも夜の部の方が内容的には面白い?昼の部にしたのは夜の部に孝太郎姉さんの出演がなかったから。友人に孝太郎姉さんを見てほしかったからなんです。
しかしこの友人、こんな私の心配や不安をよそに、「良かった。見に来る人の気持ちがわかる。また来ようね。」とのことでした。
良かった。本当に良かったです。
最初、番付を私一人が買ったものの、後でこの友人も買っていましたし。歌舞伎に興味を持ったようです。
今度は舞踊もあり、また時代物、世話物など色々と。
後、友人の感想のひとつに忙しいというものがありました。それは休憩時間のこと。お昼を食べ、お手洗いに行き、売店をチェックして。確かに言われるとそうだ。しかし今回は舞台写真がまだ登場していなかったので、それをチェックしなくてよい分、いつもよりは時間に余裕がありました。

私の感想としてはちょっと盛り上がりに欠けちゃいました。お正月なんだから華やかなものがいいなと。それに座組もね。仁左衛門さんもお休みだし。人数的にも淋しかったな。
それから今回初めて見る孝太郎姉さんのお役に、六段目の与市兵衛住家勘平腹切の場での一文字屋お才がありました。この座組ならば、お才になるの?であり、どうなんだろう?という思いがありましたが、全体的なものは置いといて、お才@孝太郎は良かったです。優しい人情味のあるお才でしたが。やっぱりこの方は高貴な方より、町人の女房とか、落ち着いた生活感のある女が良い。その代表が油地獄女殺のお吉だと思う。
そう言えば、私がこの方に惚れたのは俊寛の海女千鳥だった。そして同じ舞台の最後の演目で乗合船恵方萬歳の女船頭お浪にも惚れた。もう3年前のことです。
[PR]
by eri-seiran | 2010-01-08 22:57 | 歌舞伎 | Comments(0)

御園座

名古屋の御園座での歌舞伎鑑賞からもうすでに1週間も経つのですが、せっかく撮った写真と初めての御園座の感想ををちょっとアップしておきます。
名古屋駅で降りて、地下鉄東山線に乗って一駅目の伏見で降りて地上に上がれば御園座がありました。
そこが御園座とわかった時にちょっと驚きでした。8階建ての大きなビルで、賃貸オフィスなどが入っているようです。まねき看板とのぼりがあったから遠くからでもわかりましたが、なかったらわからなかっただろう。
そのまねき看板です。
a0044916_10455783.jpg

こちらは夜ね。
a0044916_10461554.jpg

それから孝太郎姉さんののぼりね。
a0044916_10462648.jpg

歌舞伎は鑑賞以外に劇場での買い物も楽しみなんですが、御園座は入り口から入るとロービーがお土産屋さんで賑わっていました。歌舞伎関係はもちろん、今回は仮名手本忠臣蔵が上演されるということで赤穂市の塩味まんじゅうなど赤穂浪士ゆかりの地の名産も。そして地元の名古屋の名産も多数。色々とあったんですが、私はお手軽に食べられそうと思い、ひつまぶしの里茶漬けというものを買い、昨日の夕食に食べたところ、なんって美味しいんだろう。いや家でひつまぶしの美味しさを味わえるなんって。これは買って良かったです。

今回、名古屋に行くのに初めて知ったことがたくさんあるのですが、愛知ではからくり人形が他の地域では類を見ないほど豊富なエリアだそうで、ガイドブックにもどこに行けばどんなからくり人形が見れるか、時間などが紹介されていました。
携帯からアップした御園座横にある白波五人男のからくり人形もチェックしており、ぜひ見ようと思っていました。1日目に余裕を持って御園座に行き、周辺のお店などをチェックしていたところ、歌舞伎音楽が流れて来て、歌舞伎の台詞も流れているな~と。やっぱりこのビルで歌舞伎はあるんだと思いながらそれでも気付かない。そしてやっと音楽や台詞がよく聞こえる所に来て上を見上げれば15時30分スタートの白波五人男のからくり人形が始まっているではないですか(苦笑)。と言うことで1日目は最初から見られず、でも2日目に最初から見ることができました。
a0044916_10465184.jpg

[PR]
by eri-seiran | 2009-10-31 10:51 | 歌舞伎 | Comments(2)

道行の二人

御園座での吉例顔見世は通し狂言仮名手本忠臣蔵でございました。
孝太郎姉さんは昼の部での『道行旅路の花聟』のお軽、そして夜の部の『六段目与市兵衛内勘平腹切の場』のお軽であり、相手役の勘平はどちらもお父様の仁左衛門さん。腹切の場のお軽@孝太郎は1年前の10月の平成中村座で観ていたのですが、道行のお軽は初めてでした。
勘平がお父さんで道行を演じるのは平成7年(1995)の1月、中座で演じた以来だそうです。平成7年と言えば、阪神大震災があった時。余震で揺れているのがわかり、勘平@仁左衛門に幕が閉まるまで絶対に動くなと言われたそうです。この時、孝太郎姉さんは大阪に居たんだ。舞台があったんだ。
この時の勘平@仁左衛門とお軽@孝太郎の二人が寄り添う写真を見て、いつかこの演目をこの二人で観たいと思っていたのです。

道行では恋人同士、六段目では夫婦になっている二人。その違いを見せなければいけないと仁左衛門さんが語っていますが、その違いは伝わってきました。女の実家に向かっているわけで、だからもう夫婦になる寸前ではあるのです。もうすっかり夫婦気取りなんです。しかしなりきれていない感じ、若さがありました。そして道行の最初の方は私の実家がある山崎に一緒に行きましょうとお軽の方がリードしているように感じられます。まあその通りだろう。二人は主君の塩冶判官が高師直に刃傷に及んだ折、逢瀬を楽しんでいて、そのためにその場にいなかった自分を勘平は責め、切腹しようとしたのをお軽が止め、鎌倉からお軽の実家がある京の山崎に向かっているのだから。お軽としてはこの人を死なせたくない、自分がしっかりしなければという気持ちがあったからこそ、リードしていたわけで。
旅の途中、お軽に横恋慕していた鷲坂伴内@亀蔵が勘平を捕らえてお軽を自分のものにしようと追いかけて来て、勘平がそんな伴内や伴内の手下らをやっつける時なんか、尻に引かれていた感じの勘平がとても頼もしく見えて、お軽もそんな勘平に惚れ直したようで、この後は勘平も自分がしっかりしなければという感じになって、お軽にもこの人は死なないわ、もう大丈夫という表情が見えて、幸せに旅を続けことになり、こっちまで嬉しく幸せな気持ちになりました。まあ~この後に悲劇が待っているのですが(涙)。

さて忠臣蔵と言えば、近藤勇が好きだったとか。
だから、大河ドラマ『新選組!』の第20回でも近藤勇@香取が「赤穂浪士が大好きなんです」と言ったりするわけで。
山南敬助が切腹した時に近藤が「浅野内匠頭でもこうみごとにはあいはてまい」と言ったという逸話があるわけで(永倉新八談)。

そして今回、道行を見て、『組!』の山南敬助@堺雅人と明里@鈴木砂羽は道行の勘平とお軽だったのかということに気付きました。
道行の場所は東海道の戸塚辺り。富士山を望むことができる山中。舞台にはバックに富士山の絵。そして満開の桜と菜の花。
『組!』の山南と明里と言えば、富士山に菜の花。ドラマでは桜は菜の花に負け、関係なかったけれど、史実の山南と言えば桜です。
勘平とお軽は鎌倉から京の山崎を目指し、山南と明里は京から江戸を目指しました。勘平とお軽は目的地に辿り着きましたが、山南と明里は辿り着きませんでした。勘平とお軽は富士山を見ることができました(この二人にとって富士山を見ることは重要でなかったかもしれません)が、山南と明里は見たかった富士山を見ることができませんでした。
ただこの二組のカップルに共通していることがひとつ。それは二人の幸せな旅の後に待っていたのは男の切腹ということ(涙)。
仁左衛門さんが着ていた紋付の黒の着物。その紋が山南の家紋と云われている丸に右離れ立葵に見えて見えて。
第33回『友の死』のあの冒頭シーンを歌舞伎風にしてもいけるかもしれない。総司も馬に乗って登場ね。

また単なる偶然なのですが、どうでもいいことなのですが、この演目が初演されたのが天保4年(1833)だそうだ。
天保4年は山南敬助がこの世に生まれた年なんですよ。
[PR]
by eri-seiran | 2009-10-25 09:20 | 歌舞伎 | Comments(0)

今後の歌舞伎鑑賞予定

近頃、1週間の間隔での記事のアップとなっております。
仕事が大変と言うことが一番の原因か。
と言うわけで、堺さんの誕生日もブログ開設4周年もスルーしちゃいました。

大阪に行った以来、これと言った楽しみはなく、ただひたすら仕事だった1週間。1日だけのお休みもこれと言って何もなく。
しかし今週はイベントが待っております。
明日は仕事が終わってから夕食付きの温泉に入りに行きます。
そして22日~23日は1泊2日で名古屋に行きます。メインは御園座での吉例顔見世 通し狂言 仮名手本忠臣蔵でございます。7月以来の歌舞伎だ。孝太郎姉さんだ。
仕事のことは忘れて楽しむんだい。

歌舞伎については11月はパス。
11月も仕事が大変なのですが、その合間に『蛮幽鬼』の大阪公演です。
そして12月。平成18年(2006)の12月に孝太郎姉さんに恋に落ちたあの日以来、12月は3年続けて南座だったのですが、今年は松嶋屋の中で孝太郎姉さんだけが南座にやって来ない。
どうして?これは他のところで孝太郎姉さんを必要としているということ?孝太郎姉さんじゃないとダメだということ?
と言うことで、歌舞伎座での十二月大歌舞伎の発表を待っていました。
やっと先週に発表されました。
やっぱり孝太郎姉さんじゃないとダメだったのね。
野田版 鼠小僧(のだばんねずみこぞう)での大岡妻りよです。野田版 鼠小僧はシネマで観ました。なかなか面白いキャラクターだと思います。
と言うことで12月は江戸に行こう。それを支えに頑張るんだい。
[PR]
by eri-seiran | 2009-10-19 10:24 | 歌舞伎 | Comments(0)

舞台のチケット

歌舞伎座公演でのチケットの一般発売が普通は前月の15日からなので、来月の御園座での吉例顔見世興行の舞台を観に行く日をそろそろ決めなければと思っていたら、なんと8月の下旬に発売になっているではないですか。そうか、御園座って、歌舞伎座とか、大阪松竹座とか、南座とは違うのか(汗)。
私は10月の舞台とは縁がないんだと思って涙が出そうだったのですが、とりあえず取れました。
2日間に亘って、昼の部と夜の部を観る予定です。
今度こそはひつまぶしを食べるんだい。

そして『蛮幽鬼』です。
大阪公演の一般発売が明日ということですが、仕事のために参戦できない。今週の初めにはまだ一枚も取れていない状態。全く観に行けなかったらどうしょうと思っていたのですが、保険で申し込んだ分が取れたと連絡がありました。
とりあえず全く行けないということはなくなりました。本命も連絡がないということは取れているんだろうなと思うのですが。
ところで11月、孝太郎姉さんはどこだろうか。それによっちゃ大変な状況になるんだけれど。
[PR]
by eri-seiran | 2009-09-12 09:52 | 歌舞伎 | Comments(0)

与兵衛

先月の六月大歌舞伎で4回も観た『女殺油地獄』については前半に観た時と、千穐楽を観た後に簡単に記事にし、改めて感想を記事に書くつもりでいたのですが、なかなか書けずにここまできました。時間的にも自分のモチベーションからも書けないかもと思い始めていたのですが、演劇界8月号に載っていた6月の『女殺油地獄』の写真や批評を見て、やっぱり書きたい、そして仕事における提出が迫っている書類の提出締め切りが火曜日とばかり思っていたら、水曜日だということに気付きまして、ちょっとばっかし余裕が出てきまして。水曜日に残業をすればいいわと言うことで書いておきます。

2年前に大阪松竹座での七月大歌舞伎で、海老蔵さんの与兵衛を1回、代役をすることになった仁左衛門さんの与兵衛を2回、観たわけだが、どちらの与兵衛にも寄り添えるところが全くなかった。身勝手な男としか思えなかったのです。理解できる部分がなかった。何故、身勝手な男になったんだろうとか、与兵衛の苦しみとか、また今思えば二人ともビジュアル的に素敵だったのに素敵だとか思えなかったし、お金ほしさにお吉を殺そうとするわけだが、殺すスリルを楽しむような与兵衛、そして殺した後は我に戻り恐怖におののく与兵衛、そんな変化も理解できなかった。
しかし今回は、与兵衛という人間に寄り添える部分もあったし、与兵衛という人物について色々と理解できた。それは何故かと考えて見ると

・仁左衛門さんが海老蔵の代役だったこと
・歌舞伎鑑賞経験が半年という自分の未熟さ
・お吉@孝太郎を観るだけで精一杯だったこと
・現在の社会と重なる点
・自分のこの2年間の成長
・自分が抱えているものと重なるところがあること
・他の配役の違い
               
などなどかと思います。
代役の違いというのは自分で挙げていながらよくわからないのですが、だって海老蔵さんの指導に当たっていたのは仁左衛門さんだし。でも海老蔵さんの与兵衛を引き継がなければならないのかな。今回観て、2年前の与兵衛の時は抑えていたのかなと思いました。
大坂の町人のぼんぼん。本当は気が弱く、根は優しいのに、虚勢を張って見得を張ってしか生きられない。素直になったらいいのよ。無理なことは無理と言っていいのよ。甘えていいのよと言いたくなる。そんな与兵衛でした。そして何故に与兵衛はこんなになってしまったのだろうと。そんなことも色々と考え、理解できました。
それから今回、思ったのはなんってかっこいいんだろう、素敵なんだろうということ。
私、自分よりかなり年齢が上の人に対して、かっこいいなとか、素敵だなと思うことはあっても、惚れるということはないんですが、仁左衛門さんに惚れている今日この頃なんです。俳優祭以来(笑)。俳優祭までは素敵な良い人でした。
そしてそんな仁左衛門さんが演じる与兵衛は本当に素敵なんです。かっこ良いんです。どんな与兵衛をとっても。たまらなかったわ。

与兵衛は生な若さで見せる方が良いと言うことから、演じるのは今回が最後ということに本人が決めたわけですが、若さだけではないと思った。
だって息子の孝太郎さん演じるお吉よりお父さん演じる与兵衛が年下なのだが、ちゃんと与兵衛がお吉より年下に見えたんですもの。これは二人の芸の力だろう。
20代前半に見えた与兵衛。技巧や芸によるものが大きい。声の出し方とか台詞の言い方とか。動きとか。目つきとか。そしてその人が元々持っているものもあるだろう。これらは若さだけでは太刀打ちできない。
確かにこれらのものを持って、若さがあれば申し分ないわけだが、そこは難しいだろう。技巧や芸などは経験を積み重ねて得ていくものだから。
そんなに私は思ったわけだが、与兵衛について一番よく理解している、歌舞伎の大ベテラン、そして歌舞伎をこよなく愛する仁左衛門さんがそう決めたことだから。
それを素直に受け止めたいと思います。
お疲れ様でした。そして最高の舞台を観れたことに感謝です。
[PR]
by eri-seiran | 2009-07-12 09:54 | 歌舞伎 | Comments(0)

語り継がれる『女殺油地獄』

本当ならば、今頃はまだのぞみに乗っている予定でした。
江戸を17時発の切符を購入していたので。
ギリギリまで江戸で楽しむ予定でした。
しかし変更してもらい、9時半過ぎには江戸を出立し、お昼過ぎには家に辿り着きました。
早く帰って来た理由は行く前から体調が今ひとつで、明日からの仕事に備えて帰ってゆっくりしようと。暑いからいつものように山南敬助&新選組ゆかりの地めぐりをする気も今回はなかったし。しかし一番の理由は、昨日の六月大歌舞伎の千穐楽の昼の部で、『女殺油地獄』を観終わって、放心状態で何をする気にもなれないからだと思う。

今日の朝の8時過ぎ、宿から東京駅に向かう途中、歌舞伎座の前を通ると、垂れ幕を取り外す作業をされていたようでした。すでに昨日に写真で撮って記事に載せた千穐楽の垂れ幕は取り外されていました。
終ったんだと言うことを実感。

歌舞伎にはまって、正確には孝太郎姉さんにはまって約2年半。一杯いっぱい観てきましたが、孝太郎姉さんに見惚れることは毎回のことですが、そのお芝居全体や役者さんの演技にとてもとても感動して鳥肌が立ったとか、涙が出そうになったとか、いうことはありませんでした。

しかし昨日は違いました。
仁左衛門さんが演じる河内屋与兵衛はこれでラストという昨日の『女殺油地獄』は最後の殺しのシーンでは仁左衛門さんの演技、気迫、息子の孝太郎さんとの絶妙なやり取りは素晴らしく、与兵衛が花道を去っていくところでは涙が出そうでした。と言うか、目がウルウルでした。
素晴らしかったです。感動でした。
特に一番感動したシーンはお吉@孝太郎が客席に背を向けて客席の方に海老反りになって、与兵衛@仁左衛門が前からお吉を殺そうとする型のところ。お吉を演じている孝太郎さんは体が柔らかいのでとてもきれいに反り、そして与兵衛を演じる仁左衛門さんは与兵衛の狂気を表情でとても上手く出していました。このシーンではいつもすごいと思うのですが、昨日は今までで観た中で一番近い席だったたこともあるのでしょうが、すごい迫力でした。鳥肌が立ちました。また自分の前に居る息子に自分の与平衛をしっかりと見とけよというものが伝わってきました。

私が感動し、興奮したようにみなさん同じだったようで、与兵衛@仁左衛門が花道を去って行く時には客席から割れんばかりの拍手。素晴らしい芝居をありがとういう拍手はなかなか鳴り止まず、そしてそれはいつのまにかカーテンコールになっていました。
昼の部の終わりを告げるアナウンスが流れていたようですが、拍手で聞こえない。立つ人はいない。
でもね、この演目で、そして片岡仁左衛門さんということを考えると、登場しないということはわかっていました。
しかし一度、カーテンが開いちゃったのよ。
そこにお吉@孝太郎は先ほどと同じように倒れて死んでいた。孝太郎さんも放心状態だっただろうな。
下手から上手の方にカーテンを閉めるようにというようなことを灯りで合図しているのが見え、カーテンはすぐに閉まりました。

出てください。
出ないよ。

と言うようなやり取りがあったんだろうな。
出ないよ。だって与兵衛がここに戻ってきたらダメだもん。

こんなこともあったわけですが、とにかく、語り継がれる『女殺油地獄』を私が観たのは間違いない。
[PR]
by eri-seiran | 2009-06-28 18:39 | 歌舞伎 | Comments(2)

女殺油地獄 其の壱

1週間後の今は歌舞伎座での六月大歌舞伎の昼の部の千秋楽、そして最期となるだろう片岡仁左衛門さんが演じる『女殺油地獄』の河内屋与兵衛を観るために江戸に居る予定です。
と言うことで、約2週間前に観劇したことも含めてちょっと触れておこう。

『女殺油地獄』は2年前の7月に大阪の松竹座で初めて観て、その時に3回観ました。最初は1回の予定だったんですよ。だからチケットもこれが夜の部だったのですが、昼の部と夜の部のチケットを1回ずつ取っていました。しかし両方とも観終わって、もう一度観たいと思い、両方とももう1回ずつチケットをゲット。ゲットして2回目を観る前に仁左衛門さんが代役を勤めることになり、与兵衛@仁左衛門を観られることに。そして2回目を観た後にパソコンの前で悩みに悩んだ末に夜の部のチケットを再びゲット。3回目を観ました。
これが歌舞伎鑑賞の暴走の始まりとも言えます。
その時のレポは何回かに分けて書いていますが、2回目を観劇して書いた感想はこちらより
今回は4回ね。6月5日、7日、そして26日、27日(汗)。

さて2年前に自分が3回も観たのはお吉@孝太郎がいいなと思ったから。背格好、顔、喋り方、声、しぐさなど、江戸の大坂にこんな女性、絶対にいたよなと思わせてくれるから。こんな女性、好きなんです。
お吉は決して美人ではない。でもだれからも慕われ、しっかりもの、そんでもって旦那さんを思い、子どもたちへ深い愛情を持っていて。
そしてこの演目は現代に通じるものがあり、わかりやすいからだろうとも思います。
その時からいつかまた観たい、そしてそれは近いうちに有り得る、しかしお吉@孝太郎は観られても、与兵衛@仁左衛門はもう観られないだろうと思っていました。
と言うのは、この公演が始まった最初の頃、仁左衛門さんが関西のトーク番組に出演して、当たり役である与兵衛を演じるつもりはないと言っていたからです。
理由は先日のスタジオパークからこんにちはでも言っていますし、7月号の演劇界にも書かれていますし、歌舞伎美人のサイトにもありますが、与兵衛は実年齢が近い方が良い、実年齢が若い方が良いと仁左衛門さんが思っているから。そのことは2年前の大阪のトーク番組でも仰っていました。
しかしトーク番組にご出演の数日後に代役で勤めざる終えなくなり、演じることになったわけです。

今回、歌舞伎座さよなら公演ということで、お客さんのアンケートを取ったところ、与兵衛@仁左衛門を観たいという要望が多く、仁左衛門さんもそれならばということで、一世一代とあるように、これが本当に最後ですと言う覚悟で演じられることになったそうです。
もちろんお吉役は、今はこの人のお役と言われている息子の孝太郎さん。お吉の娘役のお光には仁左衛門さんの孫、孝太郎さんの息子である千之助君が勤めることになり、親子三代でこの舞台に立つことになりました。
千之助君のお光については仁左衛門さんの希望だったようです。仁左衛門さんの方から孝太郎さんの方にそういう話があったということを映画『Beauty』の大阪での舞台挨拶で孝太郎さんが仰っていました。
自分の与兵衛を見せておきたい、同じ舞台に立って伝えたいと言う思いが強いのだろうと思います。

さて6月5日は3階席からの鑑賞でした。
しかしあれだけ楽しみにしていた舞台なのに、いざ舞台が始まるとなんか違う。思っていた以上に楽しめないというものがありました。
ひとつは三階席で素敵なお吉@孝太郎が感じられない。
すみません。私、孝太郎さん出演、それも好きなお役であれば一等席で観ることにしています。お陰で老後について心配なここ2年ほどなのですが。
細かいしぐさ、表情、息づかいなど一等席でないとわからない、感じられない。だって孝太郎姉さん魅力のひとつはそこなんだもん。
しかし今回は4回も観るので、4回とも一等席というわけには無理なので、1回目は三等席にしたわけです。2回目鑑賞の6月7日は一等席にしていたので、この問題は解決しました。
やっぱり素敵だわ。しぐさがとても女らしく上品だわ。
そしてもうひとつ思っていた以上に楽しめなかったのが観ていて、自分の仕事と重なるところがあり、仕事のことは忘れたいのに色々と考えてしまったのです。2年前はそんなことなかったのにな。この舞台を観る余裕ができたせいか、仕事がそれだけ厳しいと言うことか。厳しいと言うことだろうな。
しかしこれも2回目の観劇で一等席で観たので素敵なお吉@孝太郎に見惚れて、仕事のことを思い出す事も殆んど無く楽しめました。

3回目、4回目を観劇するのは前回に観劇してから3週間後になります。変わった部分もあるだろう。自分の感じ方も違うだろう。楽しみにしています。
そして最期となる与兵衛@仁左衛門、またこのお役での親子三代の舞台、しっかりと見届けたいと思います。
[PR]
by eri-seiran | 2009-06-20 09:47 | 歌舞伎 | Comments(0)

山南敬助をメインにしたブログです。ホームページ『山南敬助 赤心記』共々よろしくお願い申し上げます。


by eri-seiran
プロフィールを見る
画像一覧