『新選組血風緑』の総括

『噂の男』のDVDの総括もしたいのですが、こちらより先に。
司馬遼太郎氏の『新選組血風緑』を以前に読んだのはいつのことだったか、忘れてしまいました。
少なくとも『燃えよ剣』の後だったことは間違いありません。
そして以前読んだ時より、再読した今回の方が楽しめたのも間違いありません。
そこには私自身が年齢を重ねてきたこと、以前読んだ時より山南敬助や新選組にゾッコンであること、司馬遼太郎氏以外の新選組の小説を色々と読んできこと、以前に読んだ時より新選組に対しての知識が豊富になったこと、そして大河ドラマ『新選組!』に出会えたことなど様々な理由があるのだろう。

『新選組血風録』は、昭和37年(1962年)の5月から12月まで、「小説中央公論」に連載されたものです。
ちなみに『燃えよ剣』は、これと入れ替わるかのように、同じ年の11月から昭和39年(1964年)の3月まで、「週刊文春」に連載されました。また『竜馬がゆく』は、同じ年である昭和37年の6月から「サンケイ新聞」に連載されております。
まさしく司馬遼太郎氏による幕末ブームだったのです。
『燃えよ剣』や『竜馬がゆく』が長編物であるのに対して、『新選組血風録』は15の短編小説で構成されています。
15編のタイトルと主な登場人物は下記の通りです。

油小路の決闘   
篠原泰之進と伊東一派、おけい(篠原の女)他
芹沢鴨の暗殺
芹沢鴨、菱屋太兵衛(大阪商人)、土方、総司、左之助、源三郎他
長州の間者
深町新作(長州の間者)、総司、おその(深町の女)、松永主膳(長州の間者)他
池田屋異聞
山崎蒸、近藤、大高忠兵衛(長州系浪士)他
鴨川銭取橋   
武田観柳斎、山崎蒸、土方、狛野千蔵(平隊士)他
虎徹  
近藤、斎藤、土方他
前髪の惣三郎  
加納惣三郎(平隊士)、田代彪蔵(平隊士)、土方、武田他
胡沙笛を吹く武士  
鹿内薫(平隊士)、小つる(鹿内の女)、左之助他
三条磧乱刃  
源三郎、国枝大二郎(平隊士)、土方他 
海仙寺党異聞  
総司、中倉主繕(伍長)、長坂小十郎(平隊士)他
沖田総司の恋  
総司、 半井玄節(医師)とその娘、土方、近藤他
槍は宝蔵院流
谷三十郎、谷周平、斎藤他
弥兵衛奮迅  
富山弥兵衛(伍長)、伊東他
四斤山砲  
大林兵庫(平隊士)、永倉新八他
菊一文字  
総司、播磨屋道伯(刀屋)、土方、近藤他

近藤や土方は挙げるまでも無く、殆どの作品で登場していますけれどね(笑)。
新選組の小説としてはもちろん面白い。フィクションでありながら、史実や逸話も入っていて、わかりやすく、読みやすい。新たな土方、総司、斎藤像などが浮かんでくる。
私的には特に池田屋異聞、また虎徹や三条磧乱刃などが面白かった。池田屋異聞は赤穂藩で討ち入り組みに加わらなかった重臣・奥野将監の子孫であったとする山崎(もちろんフィクション)と、討ち入り組の大高源吾の子孫であったと云われている大高忠兵衛の討ち入りから約160年後の敵討ちのような話しでもある。

さてそれぞれの作品のタイトルを見てもわかるように、新選組三大内部粛清とも言える芹沢鴨暗殺・山南敬助の切腹・油小路の変の中で山南敬助の切腹だけが取り上げられていない。

そして主な登場人物を挙げました。苦労して何故こんなことまでしているかと申しますと、山南と平助以外の試衛館派のメンバーはどれかの作品で主人公、或いは準主人公と言える立場で登場していることを言いたかったわけです。
上記に挙げていなくても、登場している作品もたくさんあります。
しかし山南敬助はいくつかの作品で登場はするものの、その他になる。いくら山南ファンの私でも、主な登場人物に山南を挙げることはできなかった。芹沢鴨の暗殺でも、刺客は土方歳三、沖田総司、原田左之助、そして井上源三郎の設定になっている。ここで刺客に誰がいいかと近藤と土方が相談する時、永倉、平助、斎藤の名前も挙げるが、山南の名前は挙げていない。と言うか、それ以前の問題として、芹沢鴨暗殺の計画に副長の山南が参加していない(涙)。
井上源三郎を主人公にした三条磧乱刃を読んだりしていると、司馬遼太郎氏が井上源三郎を4人目の刺客として挙げたのがなんとなくわかったりするんですけれどね。
多摩の出身者たちのつながりを強調したかったのだろう、またそこが新選組におけるキーポイントとなっていることを伝えたかったのだろう。確かにそうなんですけれどね。
また司馬氏は土方に忠義な山崎とか斎藤が好きなんだろうな~。
司馬氏は山南敬助という人物をどのように捉えていたのだろうか?ただ学のある人ということだけだったのだろうか?

さあ~今度は『燃えよ剣』を再読してみよう。
これを再読するのは山南ファンとしてはしんどいところがあって避けてきたのですが、避けては通れぬ道になってしまいました。
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by eri-seiran | 2006-12-17 22:21 |  本

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